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 冬はインフルエンザとならんで感染性胃腸炎が流行する季節です。なかでもロタウィルスやノロ ウィルスは有名ですね。ロタウィルス胃腸炎は大人でもかかりますが、一般的に症状が非常に軽い ため、気づかないうちに小さいお子さんにうつしてしまうこともあります。日本では命にかかわる ことは滅多にありませんが、かかったお子さんのうち10 人に1人が入院し、その数は1年間で約 5万人といわれています。現在でも東南アジアやアフリカでは死につながることも多いため、世界 100 ヵ国以上で積極的に予防接種が薦められている病気でもあります。

 両ウィルス共に発熱、嘔吐、下痢などの症状がみられます。まず発熱と嘔吐で始まり、1 日位経過し、 嘔吐がおさまる頃に下痢が始まることが多いです。また、ロタウィルスは2.3 歳未満に多く、ノロ ウィルスはもう少し大きい年齢に多くみられます。一般的にロタウィルスの場合には発熱を伴うこ とが多いようですが、何日も高熱が持続することは少なく、2 日程度で熱は下がることがほとんど です。下痢は3 日.1 週間程度持続します。
ロタウィルスは便の色が白っぽくなることで有名ですが、実際は便の色は様々です。下痢は10 回 以上になることも多く、オムツかぶれにより不機嫌になっているお子さんも多くみられます。下痢 の回数が多い場合には、ペットボトルに人肌くらいのお湯を入れて、オムツの上でお尻を流してあ げましょう。

 ロタウィルスやノロウィルスの胃腸炎にかかると、熱がなくてもけいれんが起きることがありま す。胃腸炎にかかって2 〜 5 日目に起きることが多く、後遺症を残したりすることは通常ありませ んが、他の原因(脳症や低血糖など)でけいれんしている可能性もあるため、早めに病院を受診す るようにしましょう。
 感染者の嘔吐物や便中のウィルスが、手や空気を介して体内に入ることで伝播していきます。発 症後1週間は便中にウィルスが排泄されるので注意が必要です。
 また、ノロウィルスは前述のようなうつり方以外に、ウィルスで汚染された食品(特に二枚貝) を摂取することで食中毒と同じようなうつり方をすることがあります。
 感染を予防するために一番大事なことはやはり手洗いです。手洗いの石鹸ではウィルスを消毒す ることはできませんが、流水で洗い流すことで予防効果は高くなります。嘔吐物を片付ける時に は、使い捨てのマスクや手袋を着用し、ふき取ったペーパータオルなどと一緒にビニール袋など で密閉し捨てるようにしましょう。
  ロタウィルス・ノロウィルスの消毒には加熱または次亜塩素酸が必要です。
  加 熱   : 85℃以上で1 分間煮沸⇒布巾や調理器具など
  次亜塩素酸 : ご家庭にある次亜塩素酸(ハイターなど)キャップ1/2 杯を500ml
           の水で薄める⇒じゅうたんやドアノブなど
           (注:次亜塩素酸は手や金属類の消毒には使用できません)
少し前までBRAT(バナナ, ライス, りんご, トースト)などが下痢をしている時の好ましい 食事と言われてきました。しかし最近では子供達の栄養状態が良くなり、母親の脱水に対する知 識も向上したため、このような特別な食事療法は特に必要ないと言われてきています。以下に嘔 吐・下痢をしている時の食事についてのポイントをあげておきます。
@ 嘔吐がある時には積極的に経口補液をおこないましょう。市販の経口補水液、母乳、 ミルクで構いません。1回50.100ml 程度にしましょう。
A 水分摂取が困難な場合には、もちろん無理に飲ませず医師の診察を受けましょう。
B いわゆるスポーツ飲料は糖分が高く、体を酸性にする果糖を多く含むこと、また塩分 が低いことから経口補水液には向きません。。
C 嘔吐が治まり、水分がとれるようになったら早めに食事を再開しましょう。その方が 腸の粘膜の回復がはやくなります。
D 母乳、ミルク共に普段どおりあげて構いません。食欲がない場合は上記の補水液を併 用して足りない塩分や糖分を補って下さい。
E 市販の経口補水液は非常に優れていますが、ない場合には薄味の味噌汁や野菜スープ (にんじん、ジャガイモなど)の汁でも代用できます。
 ロタウィルスによる胃腸炎後に乳糖を分解しにくい(牛乳やミルクを飲むと下痢が悪化する)腸 に一時的になってしまうお子さんがいます。その場合にも医師の診察を受けましょう。


2010.2.18  大野貴美子


大野貴美子
大野貴美子 小児科
聖マリアンナ医科大学卒
 日本小児科学会専門医
 
 
 






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