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 肺炎球菌は多くのお子さんののどや鼻にいる菌で、特別な菌というわけではありません。ふだん はおとなしいのですが、大人にくらべてこどもは抵抗力が弱いために、肺炎球菌による重症の病気 をひきおこしやすいと言われています。


 「肺炎球菌」という名前からもわかるように、こどもの「肺炎」の30%が肺炎球菌によるものと されています。しかし、肺炎球菌は肺炎だけではなく、実にさまざまな病気をおこします。  脳や脊髄をおおっている髄膜の中に入りこんで「細菌性髄膜炎」をおこしたり、血の中に入りこ んで「菌血症(敗血症)」をおこしたり、耳や鼻の奥にはいりこんで「中耳炎」や「副鼻腔炎(い わゆるちくのう)」をおこしたります。
 「菌血症」は肺炎球菌が血に乗って体中をまわるのでいろいろな臓器障害をおこす重い病気です。 この菌血症の原因のなんと80%は肺炎球菌です。また細菌性髄膜炎の20〜30%は肺炎球菌が原因 で、ヒブに次ぐ多さとなっています。このような重症な病気はのみぐすりの抗菌薬ではほとんど防 ぐことができません。
 世界中では毎年70万〜100万人の5 歳未満のお子さんが肺炎球菌が原因で亡くなっていると言 われています。


日本にはこれまでも肺炎球菌ワクチンはありましたが、2 歳未満のお子さんへの接種では抗体 産生がわるい(免疫がつきにくい)ワクチンでした。そのため、高齢者やハイリスク患者さんに 接種をおこなってきました。
 2 歳未満のお子さんにも免疫がつきやすい肺炎球菌ワクチン(プレベナー)は2000 年に米国 で承認されましたが、遅れること10年、2010年2月より日本でも使えるようになりました。WHO(世 界保健機関)はこの肺炎球菌ワクチンの定期接種を推奨していて、欧米を中心に45カ国では定 期接種に組み入れられています。しかし、残念ながら日本では今の段階では任意接種であり、自 費となってしまいます。
 有効性ですが、肺炎球菌ワクチンの接種によって、肺炎球菌による重症な病気を98%減らせ るという報告があります。
 副作用を気にされる方も多いと思います。ワクチンなので全く何もないというわけにはいきま せんが、ある調査では、副作用の多くは接種部位の発赤や腫れ、硬結(かたくなる)、注射後の ふきげんなどでした。また、接種後約1 割の人に38℃以上のお熱が出ることがありますが、重 篤な副作用はなく、きわめて安全と考えられます。


 生後2ヶ月から6ヶ月に接種を開始するのが よいとされ、初回免疫の3回を1歳未満に行い ます。三種混合との同時接種が可能で、三種混 合と肺炎球菌ワクチン+ヒブワクチンの同時接 種も可能です。追加免疫はだいたい1歳から1 歳3ヶ月時に1回接種します。
 7ヶ月以上12ヶ月未満のお子さんでは初回免 疫は2回+追加免疫1 回の合計3 回で、1歳以 上2歳未満のお子さんは初回免疫2回のみと なっています。
 2歳から9歳以下のお子さんは1回接種のみです。10歳以上のお子さんは重症感染症の発症率 は低下するため、接種対象者とはなりません。


 肺炎球菌ワクチンは予約制になりますので、接種をご希望の方は受付までご連絡ください。 任意接種のため、費用は自己負担となります。自治体によっては補助が出る地域もございます。 目黒区では平成23年4月より0歳〜4歳時の方に限り1回につき4000円の補助が出る予定です。 (当院での負担金は5800 円です)補助の対象外の方は9800円の負担金となります。


 肺炎球菌による重症感染症はワクチンで防げる病気です。ヒブワクチンとともに接種をする ことで細菌性髄膜炎の90%以上を防ぐことができます。
 われわれ小児科医は肺炎球菌で後遺症を残したり、亡くなったお子さんをみています。ぜひ、 「お子さんの命を守る」ということを考えてみてください。


2010.4.12 高嶋能文


高嶋能文
高嶋能文 小児科
山梨医科大学卒
 日本小児科学会専門医
 日本血液学会血液専門医
 がん治療認定医
 






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