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アデノウイルス感染症と咽頭結膜熱(プール熱)

アデノウイルス感染症と咽頭結膜熱(プール熱)

 夏かぜ症候群と呼ばれるものの代表は手足口病、ヘルパンギーナ、そしプール熱です。夏かぜ症候群は真夏だけに多いのではなく、だいたい5月~6月頃には増えはじめます。 プール熱の正式な名称は「咽頭結膜熱」といいます。原因はアデノウイルスです。以前はプールに入ってうつったのでプール熱と言われましたが、最近ではプールの塩素濃度が高いので、学校やスイミングスクールのプールでうつるような病気ではありません。また、プールに入らなくてもうつることがあります。

アデノウイルス感染症でみられる症状

① 咽頭炎 のどが赤くなり、痛みが強いです。扁桃腺も赤くなり、白いもの(膿)がついたりします。よだれが出たり、食欲が落ちたりもします。
②結膜炎・角結膜炎 目が赤くなり、目やにや涙が出ることもあります。
③発熱 39~40℃の高熱が4~5日続きます。1週間以上続くお子さんもいます。
④胃腸症状 吐き気や下痢、腹痛などが起こることがあります。
⑤呼吸器症状 咳が出たり、ひどい場合にはぜーぜーしたり、気管支炎や肺炎を起こすこともあります。
⑥その他 血尿などの膀胱炎症状や肝炎などを起こす場合もありますが、まれです。

アデノウイルスは様々な症状を起こしますが、すべての症状がそろうわけ ではありません。咽頭炎・結膜炎・発熱の症状がみられたものをプール熱(咽頭結膜熱)と呼び、目の症状のみであればはやり目(流行性角結膜炎)と呼びます。

プール熱とはやり目の違い

アデノウイルス感染症の診断と治療

 のどやまぶたの裏側を綿棒でこすり、迅速検査キットを使って診断することが多いですが、流行時には症状だけで診断することもあります。  アデノウイルスには抗生物質は効果がありません。症状を和らげるためのお薬で様子を見ることになります。

おうちでのケアと病状の経過

  • おうちで大事なのは、水分をこまめにとって脱水にならないようにすることです。
  • のどが痛くなることも多いので、食べ物や飲み物をとりにくくなりますが、プリンやゼリー、ヨーグルト、アイスなど口当たりのよいものを与えましょう。
  • 熱は午前中に少し下がったと思っても、夕方くらいにはまたあがってくることがあります。のどが痛くて水分がとれなかったりぐったりしている場合、咳や下痢がひどい場合はもう一度受診をしてください。
  • おうちでは手洗いを十分におこないましょう。タオルの共用でうつることがあるので、一緒のタオルは使わないようにしましょう。
  • アデノウイルスは感染力が強いので、熱がさがり、症状がよくなくなってから2日間は保育園・幼稚園や学校を休ませるようにしましょう。

2025年6月24日
小児科 髙嶋 能文
日本小児科学会小児科専門医
日本血液学会血液専門医

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